みなさんは『千代田区』と聞いて、どんなイメージをされますか?皇居やビジネス街など、あまり家庭的なイメージがない方も多いのではないでしょうか。しかし、意外にも調べてみると私達の食に欠かせないお米や海苔の専門的なお店がありました。
そこで今回、食品について学んでいる私たちは、どんなお米と海苔がおにぎりに合うのかを知り、「おいしいおにぎり」を作るべく、千代田区に昔からあるお米屋さんと海苔屋さんを訪ねました。お店の歴史や人気の商品、また地域に根付く理由や、おいしさの秘密についてお伺いさせていただきましたので紹介していきたいと思います。
最近の日本では、洋食傾向やダイエット法など様々な理由で米離れが進んでいます。しかし、おにぎりの存在は特殊であると感じます。好きな具材を選び、簡単に作ることができます。それぞれの家庭独自のこだわりの具材もあると思います。物心ついた時から身近な存在としてあるのがおにぎり、どの世代の方々にもおにぎりの思い出があるのではないでしょうか。
だからこそコンビニでも、旬や流行りの具材、定番の具材、様々なおにぎりが売られており、それに特化した専門店も昨今では人気です。最近は「おにぎらず」などのおにぎりのアレンジもあり、更に進化しています。今回は、おにぎりの基本であるお米と海苔に焦点を当て、取材させていただきました。
まず初めにお伺いしたのはお米屋さん、「米マイスター麹町」です。
このお店は、米穀業界での大ベテラン5つ星マイスターに認定されている福士修三さんが経営されています。レストランやお寿司屋さんなど、飲食店の料理の味に合ったお米を福士さん本人がそれぞれブレンドして販売をします。ブレンドしたお米は販売をする前に一度お店の方に確認していただくため、一定量を無償で提供しています。こういった取り組みが信頼と安心を与えているのだと知ることができました。もちろん、美味しくて安全な家庭向けのお米も販売しています!
販売しているお米の種類はとても豊富で、新潟産や茨城産など、様々な地域のものが店頭に並びます。
学生: | 「ここのお米マイスターのお店はいつからあるのですか?」 |
福士さん: | 「この米マイスターのお店は、平成17年に設立されました。元々老舗の店だったんですよ。ここは麹町なんだけど、隣の平河町の方で、明治時代に創業されたお店を僕が13年前に引き継いで、『米マイスター』という社名でお店を始めました。」 |
学生: | 「そうなんですね。その元々のお店である、隣の平河町のお店を知ったきっかけはなんですか?」 |
福士さん: | 「引き継いだきっかけは、会社が米穀部門と不動産部門がありまして、それを分社化しました。前社長が、不動産部門。僕が米穀部門を引き受けたんです。その当時は米穀部門の業績があまり良くなくてお荷物だったのです。そのようなことから、僕が引き受けたんですよ。」 |
今回、取材させていただくにあたって私たちが求めていた課題は「おにぎりに合うお米」です。
そこで、さらに福士さんに質問をします。
学生: | 「ここのお店の人気の商品と、その理由が知りたいです。」 |
福士さん: | 「ここの人気商品は、『ザ麹町』という高級ブレンド米です。それと『銀坊主一族」。銀坊主一族は、遠いと北海道から沖縄まで、寿司職人さんに使われているんですよ。」 |
橋本: | 「じゃあ全国で使われているのですね。」 |
福士さん: | 「そうです。」 |
学生一同: | 「すごい!!!!!」 |
福士さん: | 「ですから、星が3つとか、2つとか1つの職人さんも使ってます。これはうちのオリジナル商品なんです。」 |
高級米が全国の高級料理店で使用されているのですね!
学生: | 「では、お米マイスターが考える、おにぎりに合うお米を教えてください。」 |
福士さん: | 「新之助です。」 |
学生: | 「今回、そのお米を購入したいのですが…」 |
すると、福士さんが準備をしてくれました。
まずお米を計量して…
精米して…袋に入れて完了!
たくさんのお話を聞くことができ、おいしいお米もいただくことができました。
ありがとうございました!!!
ごはんの主な栄養素といえば炭水化物(糖質)を思い浮かべますが、実はほかにもたくさんの栄養素が含まれています。
[ビタミンB1]
ビタミンB1は疲労回復に効果的です。
[鉄分]
体内に酸素を運んでくれるのがヘモグロビンです。
そのヘモグロビンの生成に重要な役割を持つのが鉄分です。
[炭水化物(糖質)]
炭水化物はエネルギーの源で三大栄養素のひとつです。
[亜鉛]
皮膚や骨格を生成し、発育&維持してくれます。
[食物繊維]
整腸作用があり、糖尿病・動脈硬化などを予防する働きがあります。
[たんぱく質]
皮膚、骨、筋肉、毛髪、 血液などを構成する、人間の体に不可欠な栄養素です。
とくに、 一緒にとることの多い、大豆製品との相性が良いです!
(たべチヨダは味噌汁チームもありますのでぜひ覗いてみてください笑)
[脂質]
少ない量で、大きなパワーの源になる非常に効率のよいエネルギー源です。
こちらも三大栄養素のひとつです。
このように様々な栄養素が含まれています。
和食に欠かせない主食であるお米の良さを再認識しました。
もっと気軽にこのようなことを知る機会があれば良いと思いました。
創立100年以上、増辰海苔店さんは、自称海苔ソムリエの店主さんが全国の名産地を回り、おいしい海苔を探し求め、販売をしています。毎週金曜日には工場直送の「金曜焼きたて」海苔を限定販売しています。
とても人気で、すぐに売り切れてしまいます!
店内はこのような感じです。
普通の海苔ももちろん、ご飯にかけるふりかけも売っています。
試食もでき、様々な味が試せますよ!
学生: | 「どのような年代の方が買いに来られますか?」 |
海苔ソムリエ: | 「やっぱり主婦の方も多いですけど、結構ここは会社も多いのでサラリーマンの男性の方とかも多いですね。あとね、小さいお子さんがいらっしゃるお母様とかもベビーカーで連れて、赤ちゃんが食べられるような海苔とかも買って行って下さったりします。口コミでそういう輪があるみたいで。割と幅広いですね。」 |
学生: | 「赤ちゃんが食べられるようなものも売っているのですね。」 |
海苔ソムリエ: | 「あの赤ちゃん用では無いのですが、柔らかめの海苔があるのでそれを購入されています。」 |
本当に幅広い世代で人気なのですね
学生: | 「オススメの商品はありますか」 |
海苔ソムリエ: | 「オススメは、うちで出している金曜焼きたてっていうものです。木曜日に埼玉の工場で焼くんですね、それが毎週金曜日に出るんですけど、それが一番オススメですね。」 |
学生: | 「毎週入荷されるんですか」 |
海苔ソムリエ: | 「毎週、はい、木曜に焼いて。」 |
海苔ソムリエ: | 「あとね、それに一番近い海苔が「九段」というものです。ここの九段の名前も入っていています。これは有明産ですね。」 |
学生: | 「工場の海苔は、吉川でしたっけ。千葉の海でとれるという話はお伺いしたんですけど、どの辺の海でとれますか。」 |
海苔ソムリエ: | 「千葉の富津産とか、あと、九州有明産とかもありますし、結構、全国、熊本とかいろんなところからも買付けています。浦安とかでも海苔は取れますし、うちはそうですね基本、佐賀、九州か、富津、千葉に買付けに行ってますね。」 |
最後に…
学生: | 「今おにぎりをテーマに研究してるのですが、なぜおにぎりに海苔を巻くと思われますか」 |
海苔ソムリエ: | 「おにぎりになんで海苔を巻くか。好みだよね、塩むすびとかも今出て美味しいけど、でもやっぱり海苔!おにぎりといったら海苔!っていう感じ、私は海苔を巻いてるほうが好きなので。」 |
学生: | 「美味しいですよね。ありがとうございました。」 |
とてもためになるお話を聞くことができました。ありがとうございました。
実際に炊いてみるとツヤツヤとしたお米が立っていてとてもおいしそう…!
おにぎりにして食べてみると海苔の香りとお米の粒が相性抜群でとても美味しかったです。
今回は三角に握ってみましたが、おにぎりには様々な握り方があるのをご存知ですか?
地域やお米の品種によって特徴がありました!
地域性やお米に合うカタチがあります。
おにぎりといえば…三角形!はじまりは関東地方からだといいます。
古くは山型に握った頂点に神が宿ると信じられ三角形になったという説があります。
片方の指を山型にしながら握ります。
「はえぬき」は米粒がつぶれにくく、空気が入りやすい品種です。そのため米のつぶつぶ感が全体的に出やすく三角形に握るのに適しています。
丸まるおにぎりは、あまり大きく握らず、ひと口大の食べやすいサイズが特徴的です。
九州地方に多く、手の平で丸く転がすようにして握ります。
横に細長い俵型の形状は、関西圏ではなじみのカタチです。
関西地方で好まれる味付け海苔がくるりと巻きやすい形であるからという説もあるそうです。上下を持ってくるくると回しながら握るのがコツです。島根県のお米は柔らかいため俵型が合うといいます。
ほっこりと和む円盤型は、東北地方ならではのカタチです。
指と手の平を丸くしながら握り、真ん中を平らにします。
葉っぱで巻いたおにぎりに円盤型が多いのは、包みやすく焼きやすい形状だからといえます。
以上のように様々なカタチがあることから自分のお気に入りの品種や握り方を見出す楽しさがあると感じます。おにぎりはオリジナルのものが簡単にできるということが醍醐味ではないでしょうか。いろいろな具を用意してお子さんやお友達と握ると盛り上がるでしょう!私もおいしいおにぎりを求めて研究したいと思います。
<参考文献>
川越晃子(2011)
『おにぎり:47都道府県のおにぎりと、米文化のはなし。』グラフィック社
たくさんの方からためになる情報と千代田区の歴史を学ぶことができました。
協力していただいた方々、本当にありがとうございました。
これからも千代田区と栄養学に興味を持って、今後の勉強に活かしていきたいと思います。